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徳島市 眉山 観光

街と寄り添う、徳島のシンボル。

徳島市のシンボル、眉山。なだらかな稜線が眉の形に似ていることから名付けられたこの山は、地元の人々にとって特別な存在です。

ロープウェイで登れば、市街地を一望する360度の大パノラマが広がります。昼間はキラキラと輝く徳島の街並み、夜は宝石をちりばめたような幻想的な夜景を楽しめます。春には桜が咲き誇り、秋には紅葉が山を彩るなど、四季折々の表情を見せてくれます。

もちろん、眉山の魅力は景色だけではありません。山頂の公園でのんびり過ごしたり、カフェでくつろいだり、歴史を感じる寺社を巡ったりと、楽しみ方は人それぞれ。

このマガジンでは、そんな眉山のまだ知られていない魅力や、訪れるたびに新しい発見があるようなスポットに寄り添って生活している人々のストーリーを、写真とともにお届けします。さあ、あなたも眉山の新しい一面を見つけに、出かけてみませんか?

Vol.02

MIHO IKEDA
びざんミーティング メンバー
建築士 池田美穂さん

眉山は、古代ロマンが息づく

「物語の山」。

徳島市の真ん中にそびえる徳島のシンボル・眉山。
市街地からほど近く、日常のすぐそばにありながら、

この山には“古代の香り”が色濃く残っています。

古墳や祠、伝説の地が点在し、

歩けば歩くほど古代のロマンに出会える場所。
今回は、建築家であり古代史を愛する池田さんに、

眉山に隠された歴史の魅力を伺いました。

出会いと気づき

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眉山に眠る物語

眉山を語るうえで欠かせないのが、大滝山近くに立つ神武天皇像。
「戦前に宮崎と徳島の2体しか建てられなかったと言われています。なぜこの地に? なぜ眉山に? その理由はいまだに謎のままなんです」。
池田さんは、像の向きや配置、建立時期に込められた意味を探りながら、「この場所に祀られた理由」を想像します。
「朝日が差す方角、剣山とつながる視線、そして人々の祈り──。偶然ではないはずなんです」。
さらに、眉山のふもとには聖徳太子の墓があるという伝説も残っています。タタリ谷と呼ばれるその一角には、青石で組まれた古い石段や梵字の刻まれた石があり、訪れた人々の心を静かに揺さぶります。
「本当に聖徳太子のお墓かどうかはわかりません。でも、確かにこの山には“祈りの場”が点在している。古代の人々が空を見上げ、神に語りかけた痕跡が残っているように感じます」。

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「古代史と言っても、私が好きなのは都市伝説とか陰謀論とか、そっちの方面なんです。コロナ禍によって世界観がより変わりましたね。それでその当時たまたま乗った代行の運転手さんが、『阿波古事記研究会』の方を紹介してくれて…」と話しはじめてくれた池田さん。
「眉山にある神武天皇像って、実は全国でも珍しいんです。昔は宮崎と徳島の2体しかなかったらしくて。なぜここに?と思って調べたら、いろいろなことに気づいて。全てが偶然じゃない気がしたんですよね」
そう話す目は、まるで探検家のよう。今では、眉山を訪れるたびに古代の人々の痕跡を感じ取るという池田さん。建築や地形、祠の向きなど、すべてが何かの“メッセージ”のように思えるのだそうです。

眉山で感じる、

時の流れ

池田さんが好きな場所は、眉山山頂からの眺め。
「ここから見る景色は、古代の人々も見ていたはずです。吉野川や淡路島、剣山まで一望できる。まるで“古代の国”を見渡しているような気持ちになります」。
そう語る彼女にとって、眉山は“過去と今をつなぐ場所”。古墳や神社をめぐりながら、時には立ち止まり、風の音に耳を澄ます──。
「同じ山でも、季節や時間によって全然違う表情を見せてくれる。その変化の中に、“時間を旅する感覚”があるんです」。

眉山の魅力を伝えたい

祠、石碑、伝説、自然。どれも目立たず、静かにそこにあるだけ。けれど、それら一つひとつが積み重なって、今の眉山を形づくっています。
「派手な観光スポットではなく、静かに歴史を感じる山。そんな場所が、日常のすぐそばにあることこそが、徳島の宝だと思うんです」。
池田さんは、眉山をめぐる“古代史スタンプラリー”を企画中だといいます。地図を片手に祈りの道を歩き、伝説のピースを自分の足で探す──。
「学問というより、旅なんです。歩けば歩くほど、眉山という山が“生きている”ことを感じます」。

 

古代の記憶をたどる道は、今も静かに、眉山の中に続いている。知れば知るほど新しい顔を見せてくれる山。
池田さんは最後に、こう語ってくれました。
「個人的には、ロープウェイで登っちゃうと徒歩だけになってしまって、あまり移動できないから、できたら車でいろんなスポットを回って欲しいですね。まずはロープウェイで登って徒歩で回れる範囲と、あとはやっぱり車で行くルートで。神武天皇のところも車で行かないと回れなくて。できたら車で1回は回ってほしい感じがしますね。欲を言えばロープウェイで登っても、全部ぐるっと見て回れるような古代史スポットをまとめたいんですけどね。それは今後の目標というか夢ですね」。

 

私たちのすぐそばにある山の中に、こんなにも深い“古代の時間”が流れている。
池田さんの語る眉山は、遠い昔と今をつなぐ架け橋のようです。

 

writer / yurio yamamoto

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10/18,19 開催の眉山日和 イベントで

[眉山歴史クエスト]の企画していただきました。

​ご家族・子供達に楽しんでいただけました。

Vol.01

SANSAI  wakayagi
びざんミーティングメンバー

眉山は、私の心と体を整えてくれる、

いちばん身近なテーマパーク。

日本舞踊家 若柳三彩さん

徳島市のシンボル・眉山。市街地からほど近く、誰もが気軽に訪れることができるこの山は、展望台や夜景だけでなく「スポーツを楽しむ場所」としての顔も持っています。今回お話を伺ったのは、日本舞踊家であり、趣味でトレイルランニングにも打ち込む若柳三彩さん。20年近く眉山を走り続けてきた彼女にとって、この山はどんな存在なのでしょうか。

徳島市 眉山 観光
徳島市 眉山 観光

出会いと歩み

「眉山が近くにあることは、本当にありがたいことなんです」。

そう語る三彩さんは、長崎県出身。高校生のときに日本舞踊と出会い、大学進学を機に徳島へ。師匠に入門し、舞踊の世界に身を投じながら、結婚・出産・仕事と慌ただしい日々を過ごしました。

そんな彼女が27歳のときに始めたのがマラソンです。きっかけは「無い時間でも運動をする」ということ。当時、仕事で管理栄養士をしていた彼女。食事指導に加え、運動を勧める機会も多かったのだといいます。そんな中、「時間がなくてできない」という人に「時間がなくてもできるんだよ」ということを説明するために、歩いたり走ったりを始めたのがきっかけ。けれど子育てや生活の合間に遠くまで運動しに行くのは難しい。そこで選んだのが、自宅からすぐ行ける眉山でした。

「運動したい、でも時間は限られている。そんな私にとって眉山は、最高の場所でした」と振り返ります。以来、約20年。眉山は三彩さんの暮らしに深く根づいています。

徳島市 眉山 観光
徳島市 眉山 観光

眉山で広がる世界

「朝の光に包まれて走る時や、新緑の匂いを胸いっぱいに吸い込む瞬間は、何度でも心が洗われます」。

最初はランニングのために通っていた眉山。けれど、そこでの体験が彼女の人生をさらに広げていきました。自転車(ロードバイク)に挑戦したり、仲間との出会いが生まれたり。走ることで心が整理され、思わぬアイディアが浮かぶこともあるといいます。

四季折々に移ろう風景もまた魅力です。春は桜が道を彩り、夏は濃い緑に包まれ、秋は紅葉が鮮やかに映え、冬には雪が舞う。毎日通っても飽きることのない表情が、彼女を魅了し続けています。

「雪が降った時なんてめちゃくちゃ綺麗。あと冬には野苺がたくさんなるところがあって。苺を食べに行くのも密かな楽しみの一つなんです」。

眉山の魅力を伝えたい

「眉山には何もない、っていう人もいるんです。でも、私は“何もないことこそ魅力”だと思うんですよ」。

道の脇にひっそりと佇む祠やお地蔵様、森の静けさ、鳥の声。観光施設がなくても、ここには確かな「ある」がたくさんあるのです。

「森林浴をするのもいいし、仲間と走るのもいい。ひとりで黙々と登るのもいい。眉山は誰にとっても、自分なりの楽しみ方を見つけられる場所なんです」。

徳島の人たちにもっと眉山をもっと地元を誇りに思ってほしい。そう願いながら、三彩さんは今日も眉山の道を駆け抜けます。

徳島市 眉山 観光
徳島市 眉山 観光

走る、歩く、立ち止まる──

どんな過ごし方でも、

眉山は必ず応えてくれる。

この山は、すぐそばにある最高のステージ。

徳島市 眉山 観光
徳島市 眉山 観光

三彩さんは笑いながらこう話します。
「『眉山で何するん?』『眉山って何が楽しいん?』って聞かれることもあるんです。でもね、何もないからいいんですよ。何もないわけじゃなくて、“無いからこそパーフェクト”なんです」。

眉山は、観光地のように華やかな施設があるわけではありません。けれど、それこそが魅力。誰にも邪魔されずにぼーっとできる。お弁当を持ってひとりで過ごすこともできる。人混みとは違う「静けさ」を味わい、自分の中の考えを整理したり、アイディアを育てたりする時間が生まれます。

「カフェでぼーっとするのもいいけど、人や物の動きが視界に入ってくるでしょう。私は逆に、何も入ってこない状況の方が頭が整理されるんです。眉山は、そんな“無”をくれる場所」。

だからこそ、誰もが自分だけの“推しスポット”を見つけられる。小さな祠でも、見晴らしの良い岩場でも、ただ静かに座れる木陰でも。眉山には、それを許してくれる懐の深さがあるのです。
「今の眉山は十分魅力的。でも、もっと多くの人が楽しめるようになればいいなと思うんです。今ある良さを壊さないように配慮しながら。そうすれば眉山は、もっとたくさんの人に愛される場所になるはず」。

眉山は“何もない”からこそ、誰にとっても特別な場所になりうる。

そんな三彩さんの言葉は、徳島に暮らす私たちに、もう一度この山の魅力を見直させてくれます。

writer / yurio yamamoto

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